イベント参加までの遅すぎた備忘録。

「本にするか」
「は？」
「いや、本」
「本て、あの紙の本？」
「そそ」

　事務所で唐突に話が出たのはいつだったろうか。
　5月の末頃だったような気がする。
　相変わらず、唐突に言い出すもんだ。

　映像を作るユニットとして立ち上げて、どういう風に作品を公開していくか話し合っている頃だった。
　そして、いくつか企画を進めていた内の1つ「アニメ屋」を本にしようと唐突に言い出したのだ。

　何を言い出すんだコイツと思わなかったといえば嘘になる。

「本て出版社に持ち込むとか？」
「いや、自分たちで刷ろう」
「プリンターで？」
「あぁそれも考えなきゃだけど、同人誌として出そう」
「同人誌」

　同人誌、聞いたことはあるが、はてさて同人誌って二次創作？とかじゃないのか？

「同人誌ってなんですっけ、コミケとか？」
「そうそう。まぁでも今回は二次創作じゃないしオリジナルだからどこのイベントに出るかも検討しなきゃね」
「？？？」

　そんなやりとりが本当に最初だった。
　全く先が見えない本作りはこんな感じで始まっていったのだった。
　この時全く完成図や自分たちがイベントに参加している姿も想像出来ていなかった…。

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　タイトルは仮。